WADA-DEV(7) $ /ja/blog/ai-writing-thinking-ownership-workflow/

NAME

ai-writing-thinking-ownership-workflow

SYNOPSIS

「AIで書いた感じ」の核は thinking-ownership の喪失。prompt 単位で AI 境界を引くのは judgement cost が高すぎる。workflow 単位で固定する(vault → AI summary → blog)と、構造的に thinking-ownership が保たれる。

DESCRIPTION

はじめに

「AI を全面禁止」というルールは粗すぎます。私自身、knowledge-gardener / supernemawashi / taskdog / ttymap の開発で AI を全力で使っていながら「自分で考えていない感じ」は出ていない。一方、blog を「X について 1500 字書いて」と AI に投げると一発で「AI で書いた感じ」になる。

何が違うのか。整理すると、build と write では 奪われる層が違う ことに気づきます。

  • build: AI 担当 = typing / boilerplate / lookup / 実装の細部。自分担当 = 何を作るか / どう設計するか / なぜ必要か → thinking layer は自分側
  • write: AI 担当 = 角度 / 例 / 主張 / 結論 → これ全部 thinking layer

つまり「AI で書いた感じ」の core は thinking-ownership の喪失 であって、AI 使用そのものではない。本記事はその解像度を上げ、境界を prompt ではなく workflow に倒す話です。そして本記事自体が、後述するワークフローで書かれた検証材料の一つでもあります。

思考レイヤと表面レイヤを分ける

ルールを書き直すとこうなります。

  • 思考レイヤを AI に任せる: 角度 / 主張 / 例 / 比較 / 結論 / 全体の流れ
  • 表面レイヤを AI に任せる: typo / 文法 / 翻訳 / 論理 sanity check / 事実確認 / 整形 / 重複指摘 / 抜けの質問

これは「ルールの緩和」ではなく、ルールの解像度を上げて守りたいものを正確に守る 作業です。

ただし、これを prompt 単位で毎回引き直すと judgement cost が残る。書くたびに「いま AI に思考させていないか?」を判定し続けるのは疲れます。

順序を逆にする ─ prompt ではなく workflow で守る

[従来] [workflow に倒した割り切り]
prompt 設計で境界を引く 思考は事前に vault に溜まっている
→ 書く瞬間に AI を制御する → AI に渡す時点で思考は既に終わっている
→ AI は思考者ではなく要約者

時系列のシフトで境界を守るのではなく、vault の provenance で守る。

中身workflow での扱い
体感面自分の指でタイプしたか捨てる(AI 要約で OK)
構造面思考が誰のものとして残っているかvault commit log が provenance を担保

体感面を捨てて構造面に倒す。vault に思考の git history が残る限り、blog 段階で AI が文面を書いても「自分が考えた」という事実は変わりません。

blog 1 本書くときの workflow

[1] 通常の vault 運用で思考過程を蓄積(fleeting → permanent)
[2] blog 化したいとき、自分で source note を選ぶ ← thinking layer
[3] 自分で記事の outline を書く(角度・主張・順序) ← thinking layer
[4] AI に「この outline + これらの note で N 字記事に圧縮」を依頼
[5] AI 出力を自分が check(角度になっているか / claim が抜けていないか) ← thinking layer
[6] 自分の指で書き直し(articulation 段階で介入) ← thinking layer
[7] publish

[1]-[3] と [5]-[6] が thinking layer。AI が触れるのは [4] と部分的な [6] の参考材料生成のみです。

副次効果として、自作 knowledge-gardener plugin の dogfood が走り、vault → AI 要約 → blog という workflow 自体が distribution material(このような記事)になります。

注意点・ハマりどころ

  • vault に十分な思考蓄積がない記事を AI に書かせるべきでない。要約元が薄いと AI が thinking layer を補完してしまい、結局「AI で書いた感じ」が戻る
  • つまり vault の 蓄積密度 が blog 化可能性の前提条件になる
  • cadence 問題(私の場合 9 ヶ月 4 記事 = 0.44 本/月)は「AI を使うか」ではなく 「vault 蓄積が thin な領域で blog 化を試みている」 可能性が高い
  • 「AI 全面禁止」を解除する前に、vault に書く習慣のほうを先に作る

結果

  • prompt 単位で AI 境界を判定する judgement cost が消えた
  • vault → blog の workflow に乗った記事は AI を使っても「自分のもの」と感じられる
  • 「書けないから vault に書く」が成立し、書いた思考が後で記事化される自然な path ができた
  • 結果として、本記事も上述の workflow で書かれた最初の検証材料の一つになっている

まとめ

  • 「AI で書いた感じ」の core は thinking-ownership の喪失。AI 使用そのものではない
  • ルールの解像度を上げる: thinking layer は自分、surface layer は AI
  • それを prompt 単位ではなく workflow 単位で固定: vault → AI summary → blog
  • 守られるのは vault provenance。git history が「誰が考えたか」を担保する

この draft の thinking layer(角度・主張・例・結論)は私の Obsidian vault の permanent note に由来します ── その vault の運用方法はこの記事に書きました。本記事は surface layer の体裁化のみ AI 介在 ── つまり、ここに示した workflow の最初の検証材料の一つです。

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AIワークフロー · 文章術 · Zettelkasten · 個人開発

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